【第9号】シンガポールで「AI(適格投資家)」を目指すべき理由

「このまま日本にいても大丈夫だろうか?」円安、増税、キャリアの閉塞感…。そんな不安を抱えるあなたへ。海外在住10年の筆者が、国に頼らず、個人で資産と未来を守るための「生存戦略」を、毎週お届けします。
Zumin 2025.09.20
誰でも

1. 「ルールに従う側」から「ルールの外側」へ

こんにちは。【週刊】戦略的海外移住 | 世界の羅針盤のZuminです。

一般的に、金融の世界には、二種類の人間しか存在しません。

一つは、国や金融機関が作った「ルール」に、ただ従い、保護される一般投資家(リテールインベスター)。

そして、もう一つは、自らの知識と経験を証明することで、その「ルール」の外へと出て、より大きなリターンを掴みに行く、プロの投資家(機関投資家)。

シンガポールにおいて、実は一般人でもある一定の資産に達すると資格が得られる「AI(Accredited Investor / 適格投資家)」と呼ばれるステータスがあります。

そして、僕が今、次の目標として本気で目指しているのが、この「AI」の称号を手に入れることです。

今回は、なぜこの「AI(適格投資家)というステータスが、僕たち戦略的移住者にとって、人生のゲームのルールそのものを書き換えるほどの力を持つのか。その本質についてお話しします。

2. AI(適格投資家)とは、何か?─それは、自由への「パスポート」

まず、「AI(適格投資家)」とは何か。

シンガポール金融管理局(MAS)が定める、一定の資産基準をクリアした個人のことです。

主な条件(以下のいずれかを満たす):

  • 金融資産: 100万シンガポールドル(約1.1億円)以上

  • 純資産(不動産含む): 200万シンガポールドル(約2.2億円)以上

  • 年収: 30万シンガポールドル(約3,300万円)以上

一見すると、これは単なる「富裕層の認定証」のように見えるかもしれません。

しかし、その本質的な価値は、全く別の場所にあります。

「AI」とは、僕たちがこれまでの「守られるべき素人」という立場から、「自らの判断でリスクを取ることを許された、プロ」へと進化するための、金融世界における新しい「パスポート」なのです。

【戦略的海外移住の思考】なぜ、僕たちは「AI」を目指すべきなのか

では、なぜこの「金融パスポート」が、僕たちの戦略的海外移住において、これほどまでに重要なのか。

それは、「AI」になることで、僕たちの目の前に、これまで閉ざされていた全く新しい「扉」が開かれるからです。

「投資対象」の選択肢が、爆発的に増える

僕たちがこれまでアクセスできなかった、ヘッジファンド、プライベートエクイティ、不動産ファンド、そしてまだ市場に出る前の有望なスタートアップへの直接投資。

さらに、具体的には以下のような商品にアクセスが可能になります:

  • DBS銀行のプライベートバンキング限定債券:通常の定期預金を大きく上回る利回り

  • シンガポールREITの私募ファンド:上場前の不動産投資信託への先行投資

  • 東南アジア新興企業への直接出資:次のユニコーン企業への早期参入権

「AI」になることで、これらのハイリスク、しかしハイリターンな、プロだけのディールに参加する権利が与えられます。

「金融商品」の構造そのものを変える

例えば、僕が以前の記事で紹介した「香港の生命保険」。

通常、これらの商品は長期のロックアップ期間や様々な制約が課せられています。

しかし、「AI」として金融機関と対等な立場で交渉することで、より手数料が安く、より柔軟で、そしてより僕たちに有利な条件の、オーダーメイドの金融商品を設計することさえ可能になるのです。

「信頼」という、最強の資産が手に入る

そして、何よりも重要なのが、この「信頼」です。

「AI」であるということは、あなたがシンガポールという、世界で最も厳しい金融国家から、「十分な金融リテラシーと資産を持つ、信頼できる個人である」という最強の「お墨付き」をもらった、ということ。

これは、ビジネス、人脈、そして次の新しい国への移住といった、人生のあらゆる局面で、あなたの交渉力を劇的に引き上げます。

3. 今週のnote:金融リテラシーゼロで挑んだ海外投資の代償

「AI」を目指すということは、単にお金を稼ぐということではありません。

それは、自分自身の「金融OS」を常にアップデートし続け、国が作ったルールの中でただ生きるのではなく、そのルールのさらに外側へと出ていく、という力強い決意表明です。

今週のnoteでは、ここに至るまでに僕が犯した過去の投資における失敗を赤裸々に公開しています。

セブ島のプレビルド物件(8年未完成)とマニラの内装工事トラブル — まさに「金融リテラシーゼロ」で挑んだ海外投資の痛烈な代償です。

しかし、この失敗談こそが、僕がAIを目指すための最大のエネルギーになっています。

「甘い言葉を鵜呑みにせず、自分の頭で徹底的にリサーチし、最悪の事態を想定する」— この教訓なくして、真の適格投資家への道はありません。

▼記事はこちらから

【金融リテラシーゼロの代償】 フィリピン不動産投資での失敗を全て公開

編集後記

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

第9号、いかがでしたか?

この記事を書きながら、改めて自分自身の次なる「戦場」がどこにあるのかを再認識しました。

それは、単なる「資産4,000万円」のその先。

「AI」という新しいパスポートを手に入れ、全く新しい景色を見に行くという旅です。

あなたの次の「目標」は何ですか?

ぜひ、Xで僕に教えてください。

来週も、またこの場所でお会いしましょう!

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