【第11号】物理的移住の次は「デジタル移住」。複数の”国籍”で生きる新時代の戦略

1. 「国」という概念の変化
こんにちは。【週刊】戦略的海外移住 | 世界の羅針盤のZuminです。
僕たちは、これまで「海外移住」というものを、自らの“身体”を、物理的に別の国へと移動させることだと考えてきました。
しかし、もし、その古くなったOSを、根底から覆す全く新しい「移住」の形が既に始まっているとしたら──?
今回は、僕が今、注目しており、自らのポートフォリオへの組み込みの検討をし始めている「デジタルレジデンシー(電子国民制度)」という、新しい武器についてお話しします。
2. デジタルレジデンシーとは?
まず重要な点を明確にしておきます:
❌ デジタルレジデンシーは居住権や市民権ではない
✅ オンラインでの法的身分証明とビジネス権限を提供
ほとんどの場合、あくまでオンラインを中心とするビジネスをしやすくするためのものであり、実際に居住できるビザが降りるわけではありません。
では、これによりどんなメリットがあるのか?
可能になること:
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対象国での法人設立(物理的渡航なし)
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国際的に有効なデジタル署名(手書き署名と同等の法的効力)
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海外銀行口座・決済システムへのアクセス
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税務最適化のためのストラクチャー構築
代表的なもので言えば、バルト三国として有名なエストニアのe-Residencyが有名です。
1. 🇪🇪 エストニア e-Residency:EU市場参入の確実な選択肢
申請費用: €150(2025年現在、年間維持費なし)
有効期限:5年
メリット:
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世界中のエストニア大使館でe-Residencyカードを発行
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EU全域で有効なデジタル署名 - 年間約37万時間の事務処理短縮効果(エストニア政府データ)
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完全オンラインでのEU法人設立 - 物理的渡航一切不要
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Wise等フィンテックとの完全連携 - EU銀行口座開設の簡素化
実際の活用例:
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日本在住のまま、エストニアOÜ(有限会社)を15分で設立
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EU域内での20%法人税(利益配当時のみ課税)
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年間運営コストは約10万円程度
2. 🇱🇹 リトアニア e-Residency:条件次第で税務優遇
申請費用: €90(2025年現在)
有効期限:3年
エストニアとの違い:
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標準税率: 16%(2025年から、従来15%)
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最低1回の物理的来訪が必要(完全オンライン化未完了)
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EU市場アクセスは同等
これらのe-Residencyは申請コストが非常に安いため、特に、インターネットを使ってビジネスができ、EU圏への展開を考えている人は足がかりとして非常に有効な手段となります。
3. 🇵🇼 パラオ RNS.ID:Web3時代のデジタルID
申請費用:(2025年現在)
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1年版(トライアル): $248
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5年版(レギュラー): $1,039
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10年版(アルティメット): $2,039
メリット:
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世界初のWeb3政府発行ID - ブロックチェーン(Solana)ベース
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ゼロ知識証明技術 - プライバシー保護と透明性の両立
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一部の中小暗号資産取引所ではKYCとして利用可能な場合あり
それぞれ形は違えど、さまざまな国が外貨獲得手段として、このようなサービスを始めています。
【戦略的海外移住の思考】
戦略的海外移住とは、単に身体を移動させることだけではありません。
「ビジネス」は、どの国の“旗”を掲げるべきか。
「資産」は、どの国の“法律”の下に置くべきか。
各国で投資によるゴールデンビザ廃止の流れが進む中で、
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究極のリスクヘッジ
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税務最適化の合法的選択肢
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ビジネスの拡張性
を実現する1つの手段として、デジタル空間における「国籍」の重要度が日に日に増してきています。
これは単なる「便利ツール」の話ではありません。
AIやブロックチェーンなど新たな技術が一般的になっていくとともに、僕たちの「アイデンティティ」そのものがデジタル化され、複数の国家・経済圏と柔軟に関わる時代が到来しています。
それに伴い、物理的パスポート1つだけで人生をデザインする時代は、既に終わりを迎えています。
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自身の身体は日本に、法人はエストニアに、資産はシンガポールに、デジタル身分はパラオに——
こんな究極の「分散化された自分」が、不確実な時代を生き抜く最強の戦略になる日もそう遠くないのではないでしょうか。
あなたは、いつまで一つの国だけに人生を預け続けますか?
3. 今週のnote:あなたの人生は「日本100%」になっていませんか?
今回、僕が「デジタルレジデンシー」という、一見、過激にも見える新しい戦略についてお話しした理由。
それは、僕たちが、無意識のうちに囚われてしまっている、一つの極めてハイリスクなポートフォリオから脱却するためです。
今週のnoteでは、その僕たち人生そのもののリスクとなりえる考えについて記事を書いています。
投資の世界では「分散が大事だ」と語る人々が、なぜ自分自身の人生は「日本100%」という一つのカゴに盛り続けてしまうのか。
その致命的な「矛盾」について解説。
デジタルレジデンシーとは、この「日本100%」のポートフォリオを破壊するための、僕たちが今、手にできる、最もシャープな武器の一つなのです。
▼記事はこちらから
【知識・経験・スキルは誰にも奪えない】 日本100%ポートフォリオが危険すぎる理由
編集後記
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
第11号、いかがでしたか?
この記事を書きながら、僕は、改めて自分という人間を一つの「国」という枠組みだけで定義することの危うさを感じていました。
もし、みなさんがもう一つの「デジタル国籍」を手に入るとしたら、どの国を選びますか?
ぜひ、コメントやXで、僕に教えてください。
来週も、またこの場所でお会いしましょう!
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