【第8号】なぜ、シンガポールの“エリート”はキャリアの絶頂で「会社」を辞めるのか?

「このまま日本にいても大丈夫だろうか?」円安、増税、キャリアの閉塞感…。そんな不安を抱えるあなたへ。海外在住10年の筆者が、国に頼らず、個人で資産と未来を守るための「生存戦略」を、毎週お届けします。
Zumin 2025.09.13
誰でも

1. 優秀な同僚が会社を辞める

こんにちは。【週刊】戦略的海外移住 | 世界の羅針盤のZuminです。

先日、僕が今働くシンガポールのAI企業で、一人の極めて優秀な同僚が退職することを発表しました。

彼女は30代後半でありながら、会社の、まさに「創業期」からのメンバーであり、海外拠点の代表を務める、誰もがその輝かしい未来を信じて疑わなかった、エリート中のエリートです。

彼女が会社を辞める理由。

それは、競合への転職でも、起業でもありませんでした。

彼女が選んだ道。

それは「ミニリタイア」でした。

2. 「ミニリタイア」とは何か?─人生の“再起動”ボタン─

HSBCの最新の調査によると、シンガポールでは約49%もの人々が人生の中で、複数回の「キャリアブレイク(長期の休暇)」を望んでいると言います。

これは、世界平均(45%)を上回る数字です。 

彼らがその休暇で、何をしたいのか。

  • 「自由な旅行」

  • 「家族との時間」

  • 「心身の健康」

これは、単なる「長期休暇」ではありません。

人生という長いマラソンの中で、意図的に立ち止まり、OSを再起動させ、次の新しいステージへと自分自身をアップデートさせていく。

「ミニリタイア」とは、人生の“再起動ボタン”なのです。

【戦略的海外移住の思考】

なぜ、彼らは「再起動」を恐れないのか

では、なぜこれだけ生活コストの高いシンガポールで彼らは、僕たちが、あれほどまでに恐れる「キャリアの中断」を恐れないのでしょうか。

その答えは、彼らの「資金源」に隠されています。

彼らのミニリタイアの資金源。

それは「投資収益・配当・利息(52%)」「貯蓄(56%)」「年金基金(37%)」といった、自らの「資産」から生み出されているのです。

つまり、彼らにとって会社を辞めることは「収入がゼロになる」ことを意味しません。

彼らは、自分が働いていなくても、自分の「資産」が自分の代わりに働き続けてくれるという強力な「キャッシュフローエンジン」を若くから意識し、既に人生に実装しているのです。 

だからこそ、彼らはいつでも会社という一つのゲームボードから降りる自由を持っている。

僕の同僚もそうでした。

以前、僕が彼女とランチをした際に、FIRE(経済的自立・早期リタイア)の概念について話したことがあります。

当時、彼女はまだその「概念」自体を知らないようでした。

その何気ない会話が火種になったか、は定かではありませんが、そこから時を経て、今回の「ミニリタイア」という具体的な「行動」へと繋がったのです。

もちろん、その全ての土台に彼女自身が、既に十分な「資産」を築き上げていた、という事実があることは言うまでもありません。

今思えば、「いつリタイアしても生活できる十分な資産がある」と言っていたことは、まさに一つのシグナルだったのかと感じます。

3. 今週のnote:「豊かさの定義」は、アップデートされているか?

ミニリタイアという、新しい選択肢を実現するには、まず僕たち自身の「豊かさの価値観」を見つめ直す必要があるかもしれません。

今週のnoteでは、僕がオーストラリア・パースで出会った二組の家族の物語を通じて、「本当の豊かさとは何か?」という根本的な問いに向き合いました。

「子供3人を産んで、かかった費用は病院の駐車場代だけ」と語るフィリピン系移住者家族。

5人の里子を愛情深く育てるオーストラリア人とフィリピン人の夫婦。

彼らの暮らしから見えてきたのは、銀行口座の残高やポートフォリオの数字だけではない、心と体の健康、家族との時間、そして税金が正しく使われているという国への「納得感」でした。

僕たちが本当に「移住」させるべきは、自分たちの身体や資産だけでなく、この「豊かさの定義」そのものなのかもしれません。

▼記事はこちらから

【駐車場代だけで、子供が産める国】 本当に手に入れるべき“豊かさ”とは何か?考えた

編集後記

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

第8号、いかがでしたか?

この記事を書きながら、僕は、改めて考えていました。人生とは、一本道ではない。いつでも立ち止まり、再起動し、そして、新しい道へと進むことができる。

その「選択の自由」こそが、僕たちが本当に手に入れるべき、究極の「豊かさ」なのかもしれません。

もし、あなたが「ミニリタイア」できるとしたら、何をしてみたいですか?

ぜひ、コメント欄やXで僕に教えてください。

来週も、またこの場所でお会いしましょう!

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